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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男

 それが何故、色町に行くことになったかといえば、一緒に飲んでいた銀細工職人の銀粛(ウンスク)のひと言が原因であった。
―良いな、兄貴(ヒヨンニム)は。あんな別嬪の若い娘と毎夜、やりたい放題なんだろ。
 最初は取り合わなかったのだが、ウンスクがしつこく言ってくるので、ついカッとなってしまった。
―何度も言っているだろうが。キョンシルと俺はそんな仲ではない。 
―またまた、照れなくても良いじゃないか。
 ウンスクは気の好い、至って真面目な若者だ。トスよりは数歳若い。しかし、どういうものか酒が入ると、くどくなる―、つまり、やたらと絡んでくるのが玉に瑕だった。

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