
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
自分の懸念が真実であればまだしも、全くあり得ないと理解していながら、ここまで嫉妬するのは自分でも信じられないことだ。そこまで自分がキョンシルに執着しているとすれば、その度を超した恋情もかえって怖ろしかった。
それでも、妓房を出ると、脚は自ずと恋しい少女の待つ我が家へと向いている。彼のあらゆる感情をかきたててやまぬ少女キョンシル。最早、キョンシルなしの日々など考えられない。
トスは次第に明るさを増してゆく夜明け前の空を見上げながら、疲れ切った身体を引きずるようにして歩いた。あれだけの酒量を過ごしたというのに、少しも酔いが残っていないのが我ながら不思議だった。
それでも、妓房を出ると、脚は自ずと恋しい少女の待つ我が家へと向いている。彼のあらゆる感情をかきたててやまぬ少女キョンシル。最早、キョンシルなしの日々など考えられない。
トスは次第に明るさを増してゆく夜明け前の空を見上げながら、疲れ切った身体を引きずるようにして歩いた。あれだけの酒量を過ごしたというのに、少しも酔いが残っていないのが我ながら不思議だった。
