
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
入り口の扉が開く音がする。わずかな間、座ったままうたた寝をしたらしい。キョンシルは眼を覚ますと、飛び起きた。
「トスおじさん(アデユツシ)?」
急いで戸口に駆け寄ると、細く開いた両開きの扉の向こうに、見憶えのある顔が垣間見えた。
「―ウンスクさん?」
小柄な丸顔のウンスクは、二十五になっているとは思えない童顔である。けして美男とはいえないが、これでどうしてなかなか女にはモテるのだとトスから聞いたことがあった。
「姐(ねえ)さん、兄貴は戻ってるかい?」
不安げに問われ、キョンシルの心が凍りついた。
「トスおじさん(アデユツシ)?」
急いで戸口に駆け寄ると、細く開いた両開きの扉の向こうに、見憶えのある顔が垣間見えた。
「―ウンスクさん?」
小柄な丸顔のウンスクは、二十五になっているとは思えない童顔である。けして美男とはいえないが、これでどうしてなかなか女にはモテるのだとトスから聞いたことがあった。
「姐(ねえ)さん、兄貴は戻ってるかい?」
不安げに問われ、キョンシルの心が凍りついた。
