
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
顔を上げると、今度こそ待ち人の帰宅であった。
「お帰りなさい」
キョンシルは自分でもいささか気恥ずかしくなるほど声が上ずった。
「ただいま」
トスは低い声で素っ気なく言い、中に入ってくる。
キョンシルとトスの住まいは小さな借家だ。ここは元はといえば、キョンシルが母ミヨンと共に暮らしていた。トスの故郷に一時滞在していた間、一旦は大家に返したが、都に戻ってきてからは再び暮らしている。
家といっても、やや広めの室と納戸代わりにしか使えないような小部屋があるだけだ。それでも、キョンシルにとっては生まれ育った懐かしい家である。
「お帰りなさい」
キョンシルは自分でもいささか気恥ずかしくなるほど声が上ずった。
「ただいま」
トスは低い声で素っ気なく言い、中に入ってくる。
キョンシルとトスの住まいは小さな借家だ。ここは元はといえば、キョンシルが母ミヨンと共に暮らしていた。トスの故郷に一時滞在していた間、一旦は大家に返したが、都に戻ってきてからは再び暮らしている。
家といっても、やや広めの室と納戸代わりにしか使えないような小部屋があるだけだ。それでも、キョンシルにとっては生まれ育った懐かしい家である。
