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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男

「だが、これは現実だ。キョンシル、俺たちが幾つだと思っていた? 俺は三十、ソンニョは三十二だぞ? 良い歳をした男と女が結婚の約束までしておきながら、何もなかったとでも?」
「トスおじさんとお母さんの昔はどうでも良いの。私だって、子どもじゃないもの。二人がどんな風に付き合っていたのかは薄々察しはついていたわ。でも、そのことをトスおじさん自身の口から聞きたくはないのよ」
 トスの形の良い唇が笑みの形を象った。
「それなら、先刻の続きをしよう。そなたももう子どもではないと言う。ならば、俺たちの関係が次の段階へと進んでも、何の支障もないはずだ」

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