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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男

「半分くらいは判る、か。それも、正直なそなたらしい言葉だ」
 トスは低い声で少し笑ってから、真顔になった。
「俺は正直、自信がない」
「自信がない?」
 キョンシルが小首を傾げた。
「そなたが去年の秋、ひと月だけ王の後宮にいたという事実を俺自身が受け容れられないんだ」
「トスおじさん、あの間のことはソンも話したとおり、本当に何でも―」
「判っている」
 トスが皆まで言わせず、覆い被せるように断じた。

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