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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い

「キョンシル、今、こんなことを言っても到底無理だろうが、あまり考えすぎるな」
 薄い闇に心配げな男の顔がほの白く浮かび上がっていた。
「大丈夫、これでも打たれ強いのだけが取り柄なんだから。少々のことで弱音を吐いたりはしないわ」
 わざと明るく言うと、トスが一瞬、痛ましげに眼を伏せた。
「とにかく、今は寝ろ。こんなときこそ、休息を取って身体を休めておいた方が良い」
「そうね」
 キョンシルは素直に頷き、再び横になった。
「トスおじさん、布団をかけて」
 少し甘えてせがむと、トスが苦笑いを浮かべた。

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