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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い

「何だ何だ、十六にもなって、まるで年端のゆかぬ子どものような奴だな。今朝、自分はもう子どもではないゆえ、子ども扱いするなと大言切ったのは、どこの誰だ?」
「さあ、誰が言ったのかしらね」
 キョンシルが空惚けるのに、トスが苦笑いはそのままに手を伸ばして上掛けを引き上げてくれる。
「こいつめ。言い逃れるつもりだな」
 笑顔のトスがふと真顔になった。淡い闇がひろがる室内は静寂に満たされている。トスとキョンシルのまなざしがぶつかり、交わった。

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