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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

「旦那さま、キョンシルお嬢さまにございます」
「―」
 眠っていたかと思われたイルチェがうっすらと眼を開く。
 キョンシルは、あまりにも変わり果てた祖父の姿を見て言葉すら失っていた。大柄で頑健な老人だという印象の強かった祖父が今や、見る影もないほどに痩せさらばえ、一回り以上小さくなった顔は土気色に染まっている。
 最早、医者ではなくとも、イルチェの天命が尽きようとしているのは一目瞭然であった。

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