側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
「お祖父さま」
枕元ににじり寄り、そっと声をかけてみる。
祖父の口から〝ああ〟とも〝おお〟ともつかぬ弱々しい声が洩れた。
「旦那さま、お叱りを覚悟で、お嬢さまをお連れ致しました」
馬執事はイルチェの耳許で囁くように言い、キョンシルに一礼して室を出ていった。久々の祖父と孫水入らずの対面を邪魔しないようにと配慮したのだ。
しかし、祖父は最早、馬執事が無断でキョンシルを連れてきたことなど念頭にないようだった。大体、ここまで病状が悪化していては、馬執事の独断だと気づく余裕もないに違いない。
枕元ににじり寄り、そっと声をかけてみる。
祖父の口から〝ああ〟とも〝おお〟ともつかぬ弱々しい声が洩れた。
「旦那さま、お叱りを覚悟で、お嬢さまをお連れ致しました」
馬執事はイルチェの耳許で囁くように言い、キョンシルに一礼して室を出ていった。久々の祖父と孫水入らずの対面を邪魔しないようにと配慮したのだ。
しかし、祖父は最早、馬執事が無断でキョンシルを連れてきたことなど念頭にないようだった。大体、ここまで病状が悪化していては、馬執事の独断だと気づく余裕もないに違いない。