
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
さして広くはない室内に入ってすぐに眼についたのは、壊れかけた箪笥の上に乗っている一輪挿しであった。キョンシルの物怖じしないお転婆は、何も今に始まったことではない。
この箪笥は少々右に傾いている。何故かというと、まだほんの子どもだったキョンシルが近隣の遊びにきた友達とふざけていて、ぶつかって壊したのだ。
むろん、ミヨンにはきつく叱られた。その箪笥は父チソンが代書屋の仕事を始めて、初めて得た賃金で買った大切な品だったからだ。衝突した弾みに右脚の先が取れたため、ミヨンは布をその部分に巻いて高さを保てるように工夫した。
この箪笥は少々右に傾いている。何故かというと、まだほんの子どもだったキョンシルが近隣の遊びにきた友達とふざけていて、ぶつかって壊したのだ。
むろん、ミヨンにはきつく叱られた。その箪笥は父チソンが代書屋の仕事を始めて、初めて得た賃金で買った大切な品だったからだ。衝突した弾みに右脚の先が取れたため、ミヨンは布をその部分に巻いて高さを保てるように工夫した。
