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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

 キョンシルが声をかけると、トスは小さな欠伸を一つして首を振った。
「いや、起きて待っているつもりが、睡魔に襲われたようだ」
「ただいま」
 改めて言うと、トスが手のひらで左眼をこすった。
「眠たいのではないの? ゆっくり寝んだら?」
「いや、それどころではないだろう」
 顔を洗ってくる、と、トスは低い声で言い、表へと出ていった。表には水瓶がある。時には飲料水にも顔を洗うのにも使う。
 ややあって、トスが戻ってきた。
「顔を洗うよりは、外の夜気に当たった方が確実に眼が覚めるな」

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