
変人を好きになりました
第21章 初恋の相手
「それより、クロタキさんそんなにびしょ濡れでどうしたんですか」
「質問に答えろ」
乱暴な口調からクロタキさんが取り乱していることを感じた。でも、どうしてこんなに取り乱す必要があるんだろう。ちゃんと私が無事だと言うことは空良くんから聞いているはずなのに。
「柊一くん、分かった。古都さんと話す時間をあげるからあがってくれ。こんなとこで二人ともびしょ濡れじゃ風邪をひくじゃないか」
「……結構です。古都さん、一緒に帰ろう」
有無を言わせないクロタキさんに引っ張られるように玄関前に出る。
しかし、宿谷さんが私の腕を掴むクロタキさんの手を解いた。
「それはできないと言ってるじゃないか。古都さんはうちの秘書なんだ。柊一くん、どうしたんだい。いつもの君らしくない。もう少し冷静にならないか」
二人は知り合いだったみたいだ。どういう関係だろう。
落ち着きを払った宿谷さんをクロタキさんは鋭い目つきで睨む。切れ目がちの瞳がさらにきつくなって、濡れた髪から滴り落ちた滴が白い頬を伝う。
そういえば帰ってくるとき外は土砂降りだった……もしかてクロタキさんこの雨の中を? それによく見れば顔色が悪いのか、いつも白い肌が青白くなっている。
「冷静になれ? 古都さんをこんな目に合わせた女の……」
私をこんな目に合わせた女……の……?
「やめてくれないか。古都さんの前だ。いい加減目を覚ませ。古都さんを混乱させることになると分からないのか」
冷ややかな宿谷さんと興奮している様子のクロタキさんはしばらく睨みあっていた。
「あの、クロタキさん顔色悪いし、温まっていったほうが」
おずおずと二人の間に割って入ると宿谷さんはすぐにクロタキさんから目をはずし、私に微笑みかけた。また頭をぽんぽんと叩かれるが、その前にクロタキさんに見せていた氷のような瞳をしていた人とは信じられないほど手が温かい。
クロタキさんは私の頭に乗っていた宿谷さんの手を乱暴に振り払ったので、私はびっくりしてクロタキさんを見つめた。
クロタキさんのいつも涼しい瞳は今日はなんだかぐらぐら揺ら付いているみたいで、私の方を見てくれそうになかった。悲しい。
「古都さんの言う通りだ。シャワーを浴びてくれ」
「質問に答えろ」
乱暴な口調からクロタキさんが取り乱していることを感じた。でも、どうしてこんなに取り乱す必要があるんだろう。ちゃんと私が無事だと言うことは空良くんから聞いているはずなのに。
「柊一くん、分かった。古都さんと話す時間をあげるからあがってくれ。こんなとこで二人ともびしょ濡れじゃ風邪をひくじゃないか」
「……結構です。古都さん、一緒に帰ろう」
有無を言わせないクロタキさんに引っ張られるように玄関前に出る。
しかし、宿谷さんが私の腕を掴むクロタキさんの手を解いた。
「それはできないと言ってるじゃないか。古都さんはうちの秘書なんだ。柊一くん、どうしたんだい。いつもの君らしくない。もう少し冷静にならないか」
二人は知り合いだったみたいだ。どういう関係だろう。
落ち着きを払った宿谷さんをクロタキさんは鋭い目つきで睨む。切れ目がちの瞳がさらにきつくなって、濡れた髪から滴り落ちた滴が白い頬を伝う。
そういえば帰ってくるとき外は土砂降りだった……もしかてクロタキさんこの雨の中を? それによく見れば顔色が悪いのか、いつも白い肌が青白くなっている。
「冷静になれ? 古都さんをこんな目に合わせた女の……」
私をこんな目に合わせた女……の……?
「やめてくれないか。古都さんの前だ。いい加減目を覚ませ。古都さんを混乱させることになると分からないのか」
冷ややかな宿谷さんと興奮している様子のクロタキさんはしばらく睨みあっていた。
「あの、クロタキさん顔色悪いし、温まっていったほうが」
おずおずと二人の間に割って入ると宿谷さんはすぐにクロタキさんから目をはずし、私に微笑みかけた。また頭をぽんぽんと叩かれるが、その前にクロタキさんに見せていた氷のような瞳をしていた人とは信じられないほど手が温かい。
クロタキさんは私の頭に乗っていた宿谷さんの手を乱暴に振り払ったので、私はびっくりしてクロタキさんを見つめた。
クロタキさんのいつも涼しい瞳は今日はなんだかぐらぐら揺ら付いているみたいで、私の方を見てくれそうになかった。悲しい。
「古都さんの言う通りだ。シャワーを浴びてくれ」
