
変人を好きになりました
第23章 共犯者の正体
「宿谷里香に計画を持ちかけたのも君なのかな」
空良くんが穏やかに、でも明らかに嫌悪の念を込めて言い放った。
「え?」
里香さんの名前が出てくるとは思っていなかった私は張りつめた空気に似合わないなんとも奇妙な声を発してしまった。地下のフロアに人気がなくてよかった。
それより。
「二人ともどうしたんですか? 由佳が里香さんと何の関係があるっていうんです? それに写真って?」
黒滝さんと空良くんは互いに目配せをした。
「どちらにしても古都さんを傷つけてしまうんだ。知らないよりは知って傷つくほうがいいと思う」
私が傷つくの傷つかないの何の話をしているのかさっぱり分からない。
とういうか、さっきから失礼なことを言われているのにどうして由佳は黙っているんだろう。
高い位置にある小さな整った顔と茶色のショートヘアーが微動だにせず真っ直ぐに二人のいる方を睨みつけていた。
「あの女に聞けば分かることだ。どうせ今頃投げやりになっているだろうから、なんでも答えてくれるだろう」
まるで犯人を問い詰める刑事のように黒滝さんが畳み掛ける。刑事にしては血も涙もない。きっとかつ丼なんて出してくれない刑事だろう。
「ふふっ……。はははは」
「由佳?」
なんで笑うの?
黒滝さんの言うことがあまりに馬鹿げてるから?
それにしては気が狂ったように笑う……。由佳と出会ってこの方こんな変な笑い声をあげる彼女を見たことがない。いつでも凛としている由佳は私の憧れだったのに。
「確かにそうね。あのバカ女ならなんでも話すわ」
由佳から放たれた言葉は冷たく、その声も刃物のように尖っていた。これは誰?
空良くんが一層恐ろしい顔をする。黒滝さんはいたって冷静に様子を眺めている。
由佳が里香さんに協力していた……?
黒滝さんを脅して結婚させる計画に?
「認めるのか」
由佳は笑いながら二度頷いた。
思わず由佳から数歩退く。さっきまで私のことを心配して泣きそうになっていた人だとは思えない。
「どこまでが君の計画だ」
「どこって。そうね、初めから終わりまで。って言えばいいかもね」
「由佳……。どういうことなの?」
呆然と立ち尽くす私を由佳は一瞥して不敵な笑みを投げかけた。
空良くんが穏やかに、でも明らかに嫌悪の念を込めて言い放った。
「え?」
里香さんの名前が出てくるとは思っていなかった私は張りつめた空気に似合わないなんとも奇妙な声を発してしまった。地下のフロアに人気がなくてよかった。
それより。
「二人ともどうしたんですか? 由佳が里香さんと何の関係があるっていうんです? それに写真って?」
黒滝さんと空良くんは互いに目配せをした。
「どちらにしても古都さんを傷つけてしまうんだ。知らないよりは知って傷つくほうがいいと思う」
私が傷つくの傷つかないの何の話をしているのかさっぱり分からない。
とういうか、さっきから失礼なことを言われているのにどうして由佳は黙っているんだろう。
高い位置にある小さな整った顔と茶色のショートヘアーが微動だにせず真っ直ぐに二人のいる方を睨みつけていた。
「あの女に聞けば分かることだ。どうせ今頃投げやりになっているだろうから、なんでも答えてくれるだろう」
まるで犯人を問い詰める刑事のように黒滝さんが畳み掛ける。刑事にしては血も涙もない。きっとかつ丼なんて出してくれない刑事だろう。
「ふふっ……。はははは」
「由佳?」
なんで笑うの?
黒滝さんの言うことがあまりに馬鹿げてるから?
それにしては気が狂ったように笑う……。由佳と出会ってこの方こんな変な笑い声をあげる彼女を見たことがない。いつでも凛としている由佳は私の憧れだったのに。
「確かにそうね。あのバカ女ならなんでも話すわ」
由佳から放たれた言葉は冷たく、その声も刃物のように尖っていた。これは誰?
空良くんが一層恐ろしい顔をする。黒滝さんはいたって冷静に様子を眺めている。
由佳が里香さんに協力していた……?
黒滝さんを脅して結婚させる計画に?
「認めるのか」
由佳は笑いながら二度頷いた。
思わず由佳から数歩退く。さっきまで私のことを心配して泣きそうになっていた人だとは思えない。
「どこまでが君の計画だ」
「どこって。そうね、初めから終わりまで。って言えばいいかもね」
「由佳……。どういうことなの?」
呆然と立ち尽くす私を由佳は一瞥して不敵な笑みを投げかけた。
