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変人を好きになりました

第4章 変人の恋人

「古都さん、どうしたの。スーパーこっちじゃないでしょ」

 肩に触れられた空良さんの手。
 どうして、ここにいるのだろう。

「空良さ……ん。今のって」
「スーパー行こっか」
「でも」
「行こう」
 空良さんの声が大きくなった。

「う……ん」




 これはピーマン。
 こっちはごぼう。あれはかぼちゃ。
 ねぎ。
 じゃがいも。
 たまねぎ。
 オクラ。
 人参。

「今日の夕飯は何にするの?」

 グレープフルーツ。
 イチゴ。
 ぶどう。
 りんご。
 ライチ。
 キウイ。

「おーい。こーとーさーん。そんなに買って何作るつもり? 何人分の夕食作るの?」
「あ」

 かごの中には大量に野菜と果物が入っていた。
「空良さん、なんでこんなにいれるんですか」
「いやいや。入れたの俺じゃないよ。古都さんがさっきから目につくもの片っ端からかごに放り込んでたんだよ」


 あーー。
 もう。
 あんなくらいで、何を落ち込んでるんだろう。
 黒滝さんだって普通の男性。
 恋人がいるかなんて聞いたことないし、いたらいけないことだって全くない。
 むしろ、あんな人でも支えてくれる恋人がいるってことは感謝すべきことだろう。
 あれ。
 どうして私が感謝なんてしなくちゃいけないの。
 ハドソン夫人じゃないんだから。

「じゃあ、今日はおでんが食べたいな。リクエストもあり?」
「了解です」
 そういえば空良さんがついてきていた理由聞いてない。
「どうして空良さんあんなところにいたの? 部屋の片づけは済んだの?」

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