
変人を好きになりました
第5章 世界一のクッキー
広くない玄関が4人でぎゅうぎゅうになる。
「空良さんお久しぶり。空良さんもここに?」
空良さんは頷いた。
「もういいだろ。里香、こっちへ」
黒滝さんがさっさと奥へ行く。それに置いて行かれないようにと里香さんはピンヒールを脱ぐと、丁寧に並べてから小走りで黒滝さんの元へ駆け寄り、腕を組んで二階へのぼって行った。
黒滝さんが女の人を呼び捨てにするのを初めて聞いた。
「なんだ、あれ」
空良さんが呆れたように呟く。
「クッキー焼けたかな」
そう言う声が少し裏返った。私は誤魔化すように鼻歌を歌いながらキッチンへ向かう。
ありもしない歌を口ずさむ自分なんて消えてなくなってしまえばいいと思った。
「古都ねえーーーっ」
「わーー! クッキー」
「おじゃまします」
小さい足音がぱたぱたして、子供が5人やってきた。
好奇心に満ちた輝く瞳で私と空良さんを交互に見つめる。
「古都ねえのかれし?」
「の、予定だよ」
空良さんがにっこり笑う。否定するタイミングを逃した。
「お似合いー」
きゃっきゃっと騒ぎながら、走り回る子供たちを眺めてクッキーとジュースの用意をする。
「がーおーーー」
空良さんは怪獣の真似をしながら子供たちを追いかけまわしている。
「愛ちゃん、美味しい?」
「うんっ。古都ねえのクッキー世界一だよ」
愛ちゃんは小学2年生の女の子で、素直ですごく可愛らしい。毎週土曜日に一人で図書館に来ては児童書のコーナーで本をとにかく読み漁り、没頭している間に日が暮れて、私が声をかけにいくのが習慣になっている。
「空良さんお久しぶり。空良さんもここに?」
空良さんは頷いた。
「もういいだろ。里香、こっちへ」
黒滝さんがさっさと奥へ行く。それに置いて行かれないようにと里香さんはピンヒールを脱ぐと、丁寧に並べてから小走りで黒滝さんの元へ駆け寄り、腕を組んで二階へのぼって行った。
黒滝さんが女の人を呼び捨てにするのを初めて聞いた。
「なんだ、あれ」
空良さんが呆れたように呟く。
「クッキー焼けたかな」
そう言う声が少し裏返った。私は誤魔化すように鼻歌を歌いながらキッチンへ向かう。
ありもしない歌を口ずさむ自分なんて消えてなくなってしまえばいいと思った。
「古都ねえーーーっ」
「わーー! クッキー」
「おじゃまします」
小さい足音がぱたぱたして、子供が5人やってきた。
好奇心に満ちた輝く瞳で私と空良さんを交互に見つめる。
「古都ねえのかれし?」
「の、予定だよ」
空良さんがにっこり笑う。否定するタイミングを逃した。
「お似合いー」
きゃっきゃっと騒ぎながら、走り回る子供たちを眺めてクッキーとジュースの用意をする。
「がーおーーー」
空良さんは怪獣の真似をしながら子供たちを追いかけまわしている。
「愛ちゃん、美味しい?」
「うんっ。古都ねえのクッキー世界一だよ」
愛ちゃんは小学2年生の女の子で、素直ですごく可愛らしい。毎週土曜日に一人で図書館に来ては児童書のコーナーで本をとにかく読み漁り、没頭している間に日が暮れて、私が声をかけにいくのが習慣になっている。
