
変人を好きになりました
第8章 元ストーカー
「どうして、私のこと見てたの?」
瞬きを繰り返して空良くんを見つめると、空良くんの大きな茶色い瞳がそっぽを向いた。
頬が桃色になっている。
「普通そんなこと聞くかな」
「あ、ごめん」
不躾な質問を恥ずかしく思って私は俯いた。
「……古都の頑張ってる姿一度見たら、それから気になって……時間があれば図書館に行って古都のこと探してた」
「え」
空良くんは逸らしていた視線を私に戻して真正面からしっかりと見つめる。
「最初に見た時から古都に惹かれてた。こんな気持ちになるの初めてで、ストーカーみたいなことしてたかもしれない。ごめん」
空良くんみたいな人にそんなことを想われていたと知って嫌な気持ちになるはずがない。
「ストーカー」
確かめるように復唱してみる。
空良くんは一度ゆっくりと頷いた。
「古都が柊一と住んでることだって知ってたし、毎週何曜日に出勤かも調べてた」
空良さんのマグカップを置いた右手が木目のついたテーブルで踊る。
「気持ち悪いよね。言うつもりはなかったんだけど言っちゃった」
初めて空良くんとそれらしい会話をした時のことを思い出した。彼は天文学コーナーの棚の所でしゃがみこんで本を手にとっていた。
本棚の一番下、それも私が抜きだそうとしていた本の真後ろの向こう側にある棚の本を空良くんは手にしていた。ステンレス製の本棚は本を抜きだすと向こう側が見えるようになっていて、それで空良くんと目が合った。
「全部、偶然じゃなかったの?」
空良くんが気まずそうに頷いた。
「本当にごめん。でも、こんな馬鹿みたいに夢中になるのは初めてで、どうしていいか自分でも分からなかったんだ。自分が止められなかった」
そう一気に言ってからまた俯く。
伏せられた茶色い睫と白い肌が綺麗。
「ありがとう」
「え?」
空良くんが顔を上げた。目が大きく見開かれている。
「そんな風に想ってくれてたなんて嬉しいよ」
照れくさいから、私は鼻にわざと皺を寄せて微笑んでみせると空良くんが大きく口を開いた。
「古都……」
テーブルの上にいた私の手を空良くんがぎゅうっと上から握りしめた。
瞬きを繰り返して空良くんを見つめると、空良くんの大きな茶色い瞳がそっぽを向いた。
頬が桃色になっている。
「普通そんなこと聞くかな」
「あ、ごめん」
不躾な質問を恥ずかしく思って私は俯いた。
「……古都の頑張ってる姿一度見たら、それから気になって……時間があれば図書館に行って古都のこと探してた」
「え」
空良くんは逸らしていた視線を私に戻して真正面からしっかりと見つめる。
「最初に見た時から古都に惹かれてた。こんな気持ちになるの初めてで、ストーカーみたいなことしてたかもしれない。ごめん」
空良くんみたいな人にそんなことを想われていたと知って嫌な気持ちになるはずがない。
「ストーカー」
確かめるように復唱してみる。
空良くんは一度ゆっくりと頷いた。
「古都が柊一と住んでることだって知ってたし、毎週何曜日に出勤かも調べてた」
空良さんのマグカップを置いた右手が木目のついたテーブルで踊る。
「気持ち悪いよね。言うつもりはなかったんだけど言っちゃった」
初めて空良くんとそれらしい会話をした時のことを思い出した。彼は天文学コーナーの棚の所でしゃがみこんで本を手にとっていた。
本棚の一番下、それも私が抜きだそうとしていた本の真後ろの向こう側にある棚の本を空良くんは手にしていた。ステンレス製の本棚は本を抜きだすと向こう側が見えるようになっていて、それで空良くんと目が合った。
「全部、偶然じゃなかったの?」
空良くんが気まずそうに頷いた。
「本当にごめん。でも、こんな馬鹿みたいに夢中になるのは初めてで、どうしていいか自分でも分からなかったんだ。自分が止められなかった」
そう一気に言ってからまた俯く。
伏せられた茶色い睫と白い肌が綺麗。
「ありがとう」
「え?」
空良くんが顔を上げた。目が大きく見開かれている。
「そんな風に想ってくれてたなんて嬉しいよ」
照れくさいから、私は鼻にわざと皺を寄せて微笑んでみせると空良くんが大きく口を開いた。
「古都……」
テーブルの上にいた私の手を空良くんがぎゅうっと上から握りしめた。
