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変人を好きになりました

第8章 元ストーカー

 空良くんの体温が皮膚から染みこんでくるのを感じる。
「もっと、好きになっちゃった。責任とってもらわないとね」
 悪戯に笑う空良くんの頬はまだ赤いままだ。



 そして、気付いた。
 こうやって空良くんに触れられていると他のことを考えなくて済む。
 これって、この人と一緒にいれば幸せになれるっていうこと?


「責任とってみてもいいですか?」

 私の質問はすごく変で、欲張りで、自己中心で、我儘なものだ。
 空良くんが私を穴があくんじゃないかと思うくらい見つめてから物凄い勢いで立ち上がった。
「うわっ、空良くん? 皆びっくりしちゃってるよ?」
 カフェでくつろいでいた金髪や茶髪のお客さんたちが何事かと私たちの方を見ていた。
「それって、俺のこと少しは男として見てくれるってことだよね?」

 私が頷くと空良くんは大きくガッツポーズをした。


 嬉しそうな空良くんを見ながら、これでいいんだと自分に言い聞かせた。
 今まであった気持ちに蓋をして、別の容器を作ればいいんだ。



 これからは空良くんを想っていけばいい。

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