
変人を好きになりました
第1章 卵焼き
昨日言っていた通り、仕事が今日終わったみたいだ。
そして早速黒滝さんはオフモードに突入した。
ソファにだらりと横になり、微動だにしない。アドレナリンが切れてようやく頭が体のエネルギー切れに気が付いたに違いない。
私はさっさと部屋中を片付けて、綺麗になったテーブルへ食事を並べた。
最後に出した豆腐の味噌汁の香りが部屋中を満たすと黒滝さんは飛び起きて椅子に座り、がっつき始めた。
……。
…………。
もぐもぐと口を動かし、カチカチと箸を鳴らす。
それ以外の音は一切存在しない。一生懸命に食事をする彼を私はただ眺める。
「古都さん」
「はい?」
口いっぱいにコロッケを頬張りながら、黒滝さんが私に目をやった。
「何故、いつもそんなに見る?」
「お得意の推理でもすればいいのに」
「……分からない」
落ち込むようなその真剣な表情が私を笑わせる。
「美味しそうに食べてくれるのを見るのってすごく楽しいんですよ。黒滝さんはお料理しないからよく分からないでしょうけど」
「……ん。あの、そういえば‥‥‥いつもありがとう。美味しいよ」
少しためらいながら口にされた言葉。
「黒滝さんからそんな言葉が聞けるなんて夢みたい」
恥ずかしくてつい嫌味を言ってしまう自分が憎い。
「酷い言いようだ」
そう言うと食事を再開した黒滝さんを私はなんだか落ち着いて見ていられなくなって一階の自分の部屋に戻った。
部屋を出るときに黒滝さんは何も聞こうとしなかった。
いつもなら彼が食べ終わるまで待って食器を下げているのに、どうして何も言わなかったのだろう。
彼のことだから、私の気持ちに気が付いているのかも。
最悪だ。
ただの下宿人と管理人の関係が崩れると彼は去ってしまうような気がする。
密接な人間関係を嫌うことは知っているし、彼はそれが嫌で研究所を出た。それに黒滝さんは女嫌いな所がある。
そして早速黒滝さんはオフモードに突入した。
ソファにだらりと横になり、微動だにしない。アドレナリンが切れてようやく頭が体のエネルギー切れに気が付いたに違いない。
私はさっさと部屋中を片付けて、綺麗になったテーブルへ食事を並べた。
最後に出した豆腐の味噌汁の香りが部屋中を満たすと黒滝さんは飛び起きて椅子に座り、がっつき始めた。
……。
…………。
もぐもぐと口を動かし、カチカチと箸を鳴らす。
それ以外の音は一切存在しない。一生懸命に食事をする彼を私はただ眺める。
「古都さん」
「はい?」
口いっぱいにコロッケを頬張りながら、黒滝さんが私に目をやった。
「何故、いつもそんなに見る?」
「お得意の推理でもすればいいのに」
「……分からない」
落ち込むようなその真剣な表情が私を笑わせる。
「美味しそうに食べてくれるのを見るのってすごく楽しいんですよ。黒滝さんはお料理しないからよく分からないでしょうけど」
「……ん。あの、そういえば‥‥‥いつもありがとう。美味しいよ」
少しためらいながら口にされた言葉。
「黒滝さんからそんな言葉が聞けるなんて夢みたい」
恥ずかしくてつい嫌味を言ってしまう自分が憎い。
「酷い言いようだ」
そう言うと食事を再開した黒滝さんを私はなんだか落ち着いて見ていられなくなって一階の自分の部屋に戻った。
部屋を出るときに黒滝さんは何も聞こうとしなかった。
いつもなら彼が食べ終わるまで待って食器を下げているのに、どうして何も言わなかったのだろう。
彼のことだから、私の気持ちに気が付いているのかも。
最悪だ。
ただの下宿人と管理人の関係が崩れると彼は去ってしまうような気がする。
密接な人間関係を嫌うことは知っているし、彼はそれが嫌で研究所を出た。それに黒滝さんは女嫌いな所がある。
