
変人を好きになりました
第10章 人魚姫
「うわ。やばっ」
短く叫ぶと座っていた私の手を掴んで床に押し倒す。
下着姿の私は肌の大半を空良くんに晒すことになった。こんな時なのに、私は咄嗟に今日のブラとパンツの柄は一緒か確認してしまった。
どこかに冷静な自分がいるのがおかしい。
黒と白のストライプにピンクのレースがあしらわれた下着はいつもは服の下で大人しくしてるのに、今は空良くんを誘惑しているように見える。
「古都……もう我慢できない。俺に全部預けて……」
「そらくっ……あっ」
空良くんが私のブラと胸の隙間を楽しむように舐めたり甘噛みしたりし出す。
ブラがどんどんずれていくにしたがって、感じたことのない刺激と気持ちよさで頭が上手く機能しなくなってきて、このまま快感に身を任せてしまおうと思った。
しかし、私を正気に戻してしまう一言を空良くんは言ってしまった。
「古都って胸大きいよね」
「へ、へ……」
「Fカップはあるよね。着痩せするタイプなのか」
空良くんが私の胸を鷲掴みにしようとした。
「変態っ!!」
ありったけの力で押しのけると空良くんは驚いたように私を見た。
「もう! からかうのもいい加減にしてよ。空良くんのスケベっ、変態っ、ろくでなし!」
小さい頃から小さい体のくせにしっかり胸だけはあるのが嫌で嫌でたまらなかった私にとって胸は大きな地雷だ。
ムードもなにもなくなってしまった部屋の空気に空良くんはヘヘっと笑った。
「酷い言われようだなあ。古都、自分の胸嫌いなの?」
答えてやるもんか。私は口をきゅっとしばった。
