
変人を好きになりました
第11章 純白のドレス
よく思い出してみれば、空良くんがいつか話していた夢のような幻のような本のタイトルと一緒だった。まよわずその一冊を抜きだし、カウンターに編み物をしながらずり落ちる眼鏡を指で押し戻している老婆と言っても語弊はないだろう女性に突き出した。
女性はその本を見ると驚いたような顔をして私を見、そして『良い本を選んだね』と穏やかな笑顔で言ったのだった。
「古都、大好き」
空良くんが私の額に唇を落とす。
「喜んでもらえて良かった。ほら、早く読みたいんでしょう。いいよ」
本を抱えながら足踏みをしそうなくらい浮き足だっている空良くんにそう言う。空良くんは大きくひとつ頷いて机の前の椅子に座り、ページを開いた。
私は邪魔にならないように、と部屋を出る。
あんなに無邪気に喜ぶ大人を私は未だかつて見たことがない。
私は居間のソファに座って唯一ある大きなテレビの電源を入れた。
ピッと言う小さな電子音がしてしばらくすると画面が鮮やかに光った。
空良くんがいるときは見れないから、テレビを見るのは久しぶりだ。今何が起きているのか私は全く分からなくて、社会から取り残されているような孤独が少し薄らいだ。
テレビの画面には真っ白なドレスと青い綺麗なブーケ。
可憐に結われた髪を縁どる薄いレースが顔の前に垂らされている。
その横に佇む人は黒のタキシードを身にまとっている。
女性はその本を見ると驚いたような顔をして私を見、そして『良い本を選んだね』と穏やかな笑顔で言ったのだった。
「古都、大好き」
空良くんが私の額に唇を落とす。
「喜んでもらえて良かった。ほら、早く読みたいんでしょう。いいよ」
本を抱えながら足踏みをしそうなくらい浮き足だっている空良くんにそう言う。空良くんは大きくひとつ頷いて机の前の椅子に座り、ページを開いた。
私は邪魔にならないように、と部屋を出る。
あんなに無邪気に喜ぶ大人を私は未だかつて見たことがない。
私は居間のソファに座って唯一ある大きなテレビの電源を入れた。
ピッと言う小さな電子音がしてしばらくすると画面が鮮やかに光った。
空良くんがいるときは見れないから、テレビを見るのは久しぶりだ。今何が起きているのか私は全く分からなくて、社会から取り残されているような孤独が少し薄らいだ。
テレビの画面には真っ白なドレスと青い綺麗なブーケ。
可憐に結われた髪を縁どる薄いレースが顔の前に垂らされている。
その横に佇む人は黒のタキシードを身にまとっている。
