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変人を好きになりました

第11章 純白のドレス

 空良くんの肌は透き通るように白くて頬なんて自然にピンク色に染まっていて本当に可愛い。それでも高くてしっかりした鼻が男性らしさを醸し出している。大きな茶色ががった瞳はまんまるで、はっきり言ってどんな可愛い女優さんよりも色っぽい。

 空良くんの頬を両手で包み込むように手ではさんでこちらを向かせる。

「ごめん。叩いていいよ」
「当たり前」

 空良くんが覚悟を決めたように瞼を閉じた。
 こんな綺麗な顔に思いきり平手を打ち付けたらどうなるだろうと想像してみる。


 私は自分の顔を空良くんにぐっと近づけた。目をつむっているおかげで空良くんは何の反応もしない。
 そのまま唇と唇をわざと数ミリまで近づけて口を開いた。

「キスなら、いつでもしてあげるのに。それが恋人でしょ?」

 自分で思ったより低い声が出た。
 空良くんはあまりに近くから聞こえてきた声と感じる息に驚いたのか目を開けて私をまんまるい瞳で見つめた。空良くんの色素の薄い瞳の中にこれまたまんまるい黒の瞳で空良くんを見つめている私の顔がまるで鏡のように映る。

「こ、と……どうしたの」
「どうしたのじゃないよ。空良くんじゃない人にキスされるなんて嫌って思ったんだから」

 空良くんがびくりと肩を揺らした。まるで女の子みたい。
「夢?」なんて意味の分からないことを呟く空良くんに触れるか触れないかくらいの距離で唇を重ねる真似をしてみる。まるで本当に唇がしっかりと触れ合っているんじゃないかと錯覚してしまいそうなくらいの距離だ。

 空良くんの目が虚ろになってふいに私の後頭部に手を回し、唇をくっつけようとしたので私はその手を振り払って空良くんの口元少しそれた所にキスをしてすぐに空良くんから離れた。

「だめ。お仕置きです」
「え、嘘」

 さっきまで興奮していたのか赤かった顔が一気に元通りになった。

「古都って……」
 何か文句でも言いたそうな空良くんを無視して私は聞いた。
「本どうだった? もう読み終わったの?」
 途端に空良くんはさっきまで興奮していたことも忘れたかのように邪気のない笑顔になった。

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