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変人を好きになりました

第11章 純白のドレス


「うん! すごいよ、本当に。これが俺の星好きの原点だから」


 それからは時間を経つのも忘れて空良くんは本の内容を事細かに説明し出した。

 私は12こしかない星座に人を当てはめるのはおかしいと言ったけれど、空良くんの話を聞いていると恥ずかしくなってきた。
 確かに世界中の人を12この星座に振り分けてその人の性格なんかを言い当てたり、運勢を占うのは正しいとは言えない。

「その人がどうやって育ってきたか、それによって人格なんて変わるに決まってる。星座の元に生まれてそれをベースに性格が出来上がってくるんだ。星だって周りの環境によって輝きが薄らいで見えたり、強く見えたりするじゃないかってこの本で言ってて、俺すごい納得したんだ。星と人は似てるかもって。だから、人は疲れたら星を眺めたり、星が見えない都市に住んでる人はプラネタリウムに行ったりするのは本能的に星を身近に感じているからなんじゃないかって」

 一気に喋った空良くんはそこで息を吸い込んだ。

「それが面白く感じて天文学学び始めたのに。俺、忘れてたかも」
 空良くんの瞳がきらきら輝いていて本当に星みたいだと思った。もし、星の話をしていなかったとしてもたぶんこの瞳を見たら星みたいだと思っただろう。

「空良くんは何座なの?」
「……獅子座」
 なぜか微妙に間を置いて答える。
「なんかかっこよくて堂々としてて空良くんにぴったり」
「あっ、古都の星座見てあげるよ」

 どんどんと私の星座を調べ上げていく空良くんについていくだけで精いっぱいだ。どうして空良くん自身の星座のことはあまり話したがらないのだろうか不思議に思ったけれど、すぐにそんな疑問は忘れてしまうくらい当たっていると思うことを次々と言われた。

 空良くんがホロスコープを手に取った時にその下にあった雑誌が机から鈍い音とともに床に落ちた。
 私が手を伸ばしてそれを拾うと、あるページに黄色いビニール製のポストイットが貼られていた。
 雑誌に付箋を貼るなんて珍しいと思いながら何気なくそのページを見る。

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