
変人を好きになりました
第12章 スターサファイア
「村井空良じゃない? 綺麗な顔」
「ベビーフェイスって罪だな」
式場は意外とフランクな雰囲気が漂っている。四方を壁に囲まれたホールなんかではなく、青空が見える屋外に真っ白な絹布がバージンロードとしてひかれている。
春が近づいてきているこの時期には最適な場所かもしれない。
案の定、空良くんを見ると招待客はざわついた。
空良くんは何も聞こえていないように、ただ風変りな式場を見回した。
「あいつらにしては趣味いいな」
あいつらというぶっきらぼうな言い方に私は苦笑いをする。
「素敵だね」
空良くんは急に屈んで私の耳に口を寄せた。
「あんまり他の男と目を合わせないように、俺だけ見てて」
「え?」
そういえば、今日の式はロンドンでわざわざ挙げるだけあって海外を中心に活躍している友人を招待客にしたものらしく、身内だけの式も日本で挙げると言っていた。だから、ここにいるのはほとんど里香さんの友人なのだろう。みんな若くてセンスがあるおしゃれな人たちだ。
モデルもやっているらしい里香さんの友人だけあって、男性も女性もスタイル抜群の人間離れした美貌を持っている人がほとんどで私は途端に居心地が悪くなってしまった。私と同じ目線の人が1人もいない。
空良くんは私が引け目を感じないように周りを見ないようにと忠告してくれたのだろう。もう見ちゃったじゃないか。
「村井さん初めまして。先日の受賞おめでとうございます」
里香さんの友人らしい華やかな女性たちは蝶のように空良くんを囲んで口ぐちに言う。
「ありがとうございます。でも、今日は柊一と里香さんの結婚式ですから」
爽やかな顔で嫌味っぽくなく言うと周りの人もうんうんと笑顔で納得したように頷いた。純粋にすごいなと思う。私だったら意図せずとも棘のある言い方になってしまう。
「もしかしてそちら婚約者の」
ひとりずば抜けて綺麗な人が私を見やった。悪意ではなく好奇心で満たされた瞳に女の私でもどきりとする。
「あ、はい。日向古都といいます」
「可愛い子ね。すごくお似合いよ」
お似合い。
そんなこと言われたのは初めてで普通に嬉しい。
「ベビーフェイスって罪だな」
式場は意外とフランクな雰囲気が漂っている。四方を壁に囲まれたホールなんかではなく、青空が見える屋外に真っ白な絹布がバージンロードとしてひかれている。
春が近づいてきているこの時期には最適な場所かもしれない。
案の定、空良くんを見ると招待客はざわついた。
空良くんは何も聞こえていないように、ただ風変りな式場を見回した。
「あいつらにしては趣味いいな」
あいつらというぶっきらぼうな言い方に私は苦笑いをする。
「素敵だね」
空良くんは急に屈んで私の耳に口を寄せた。
「あんまり他の男と目を合わせないように、俺だけ見てて」
「え?」
そういえば、今日の式はロンドンでわざわざ挙げるだけあって海外を中心に活躍している友人を招待客にしたものらしく、身内だけの式も日本で挙げると言っていた。だから、ここにいるのはほとんど里香さんの友人なのだろう。みんな若くてセンスがあるおしゃれな人たちだ。
モデルもやっているらしい里香さんの友人だけあって、男性も女性もスタイル抜群の人間離れした美貌を持っている人がほとんどで私は途端に居心地が悪くなってしまった。私と同じ目線の人が1人もいない。
空良くんは私が引け目を感じないように周りを見ないようにと忠告してくれたのだろう。もう見ちゃったじゃないか。
「村井さん初めまして。先日の受賞おめでとうございます」
里香さんの友人らしい華やかな女性たちは蝶のように空良くんを囲んで口ぐちに言う。
「ありがとうございます。でも、今日は柊一と里香さんの結婚式ですから」
爽やかな顔で嫌味っぽくなく言うと周りの人もうんうんと笑顔で納得したように頷いた。純粋にすごいなと思う。私だったら意図せずとも棘のある言い方になってしまう。
「もしかしてそちら婚約者の」
ひとりずば抜けて綺麗な人が私を見やった。悪意ではなく好奇心で満たされた瞳に女の私でもどきりとする。
「あ、はい。日向古都といいます」
「可愛い子ね。すごくお似合いよ」
お似合い。
そんなこと言われたのは初めてで普通に嬉しい。
