
変人を好きになりました
第12章 スターサファイア
「スターサファイアの指輪もすごく素敵。大切にしてもらってるのが分かるわ」
背の高いその人は少し背をかがめて私の耳元で悪戯っぽく囁いた。
なんか、この人空良くんに似てるかもしれない。ふとそう思った。
「空良、ちょっと古都さん借りていい?」
妙に親しげに空良くんに話しかけるその人に私は首を傾げた。
「いいけど、変なこと教えるなよ」
空良くんは露骨に嫌な顔をしたが、私は半ば無理矢理ひっぱられていった。
「あの、空良くんとお知り合いなんですか?」
真っ白なテーブルにフルーツがたくさん載っていて、私を連れてきた張本人は呑気にぶとうをひとつ摘みあげて口に放り込んだ。
「あっ。自己紹介してなかったね。私、村井奈緒。空良の従姉妹なの」
「そうなんですか。空良くんとお付き合いさせていただいてます日向古都と言います。」
慌てて頭を下げると奈緒さんは苦笑いしながらひらひらと手を振った。
「やめてやめて。そういう堅いのはいいのよ」
言葉の隅々からフレンドリーな奈緒さんの人柄が溢れ出す。
ぶどうを摘み取った指に色がついたのか一瞬顔をしかめてから、すぐになにか思いついたように悪戯っ子の顔になって、指をぺろりと舐めた。
「空良って昔からあんなんだから女にもててたんだけど、付き合ってはすぐにわかれるの繰り返しだったの。束縛されるの嫌いとかすぐ飽きるって言ってたし、結婚しないとか言ってたから婚約会見みたいなの見たとき親戚中飛び跳ねるくらい驚いちゃって」
何かとんでもないことをしてしまったのではと気が付いた。
空良くんは研究に集中するために婚約したふりをしたけれど、世間の人は私たちが本当に婚約してもうじき結婚をすると思っているのではないだろうか。というよりそういう反応を狙ったのだから当然と言える。
私は酸素を吸収しようともがく金魚のように口をぱくぱくさせるものだから奈緒さんは重そうな睫をぱちぱちはためかせた。
背の高いその人は少し背をかがめて私の耳元で悪戯っぽく囁いた。
なんか、この人空良くんに似てるかもしれない。ふとそう思った。
「空良、ちょっと古都さん借りていい?」
妙に親しげに空良くんに話しかけるその人に私は首を傾げた。
「いいけど、変なこと教えるなよ」
空良くんは露骨に嫌な顔をしたが、私は半ば無理矢理ひっぱられていった。
「あの、空良くんとお知り合いなんですか?」
真っ白なテーブルにフルーツがたくさん載っていて、私を連れてきた張本人は呑気にぶとうをひとつ摘みあげて口に放り込んだ。
「あっ。自己紹介してなかったね。私、村井奈緒。空良の従姉妹なの」
「そうなんですか。空良くんとお付き合いさせていただいてます日向古都と言います。」
慌てて頭を下げると奈緒さんは苦笑いしながらひらひらと手を振った。
「やめてやめて。そういう堅いのはいいのよ」
言葉の隅々からフレンドリーな奈緒さんの人柄が溢れ出す。
ぶどうを摘み取った指に色がついたのか一瞬顔をしかめてから、すぐになにか思いついたように悪戯っ子の顔になって、指をぺろりと舐めた。
「空良って昔からあんなんだから女にもててたんだけど、付き合ってはすぐにわかれるの繰り返しだったの。束縛されるの嫌いとかすぐ飽きるって言ってたし、結婚しないとか言ってたから婚約会見みたいなの見たとき親戚中飛び跳ねるくらい驚いちゃって」
何かとんでもないことをしてしまったのではと気が付いた。
空良くんは研究に集中するために婚約したふりをしたけれど、世間の人は私たちが本当に婚約してもうじき結婚をすると思っているのではないだろうか。というよりそういう反応を狙ったのだから当然と言える。
私は酸素を吸収しようともがく金魚のように口をぱくぱくさせるものだから奈緒さんは重そうな睫をぱちぱちはためかせた。
