
変人を好きになりました
第12章 スターサファイア
「違うんです。その、あれはなんていうか……」
言ってもいいのだろうか。でも、空良くんの親戚だしこういう大切なことはしっかり言っておいたほうがいいんじゃないのか。
空良くんには親戚がいるのだから、前もって知らせておいたほうが良かったのにどうして空良くんは何も知らせていなかったんだろう。
「古都さんも迷惑よね。空良が婚約者のフリしてくれとか言ったんでしょう。古都さん見るからに断るの苦手そうだもん」
「え、どうして知ってらっしゃるんですか?」
奈緒さんは健康的な小麦色の肌をした顔をくしゃっとしかめた。
「柊一の時にファンが研究所の前で集まるわ、柊一の家にまで付いていくわで大変だったの。空良がそれ見てて俺がもしこうなりそうな状況になったら婚約したフリでもしようかなって言ってたからね」
黒滝さんのことを名前で呼び捨てにしたことに驚いたが、それよりも奈緒さんが言うとその呼び方に違和感がないことのほうに胸が痛んだ。そんな自分が馬鹿らしくなる。
「奈緒さんは里香さんと仲がいいんですか?」
「え? 里香? ああ、柊一の女ね。全然よー。噂にちょっと聞いたくらい」
あっけんからんとして言う奈緒さんの顔をじっと見る。
確かにあの里香さんの友人というのには雰囲気がしっくりこないかもしれない。
里香さんは女であることを全開に生きているような人なのに、奈緒さんは性別なんて関係なく自由に生きているだろうと容易に想像ができる女性だ。ずば抜けて整った顔立ちは南国の美女風で波打つこげ茶色の髪と健康的な肌の色、9頭身以上あるんじゃないかと思う抜群のスタイルを自慢にするようでもなく自然のままに立居振る舞いをしている。
「空良が柊一と仲良いのよ。それで、私も小さい頃から知ってて幼馴染って感じかな。でも、里香って子あんまり良い噂聞かないのよね。特別美人ってわけでもないし。ここにいる里香さんの招待客だって彼女の権力に惹かれて来てる子たちばっかり」
私は奈緒さんのこちらがビクビクするような発言を聞きながら新郎新婦が現れるであろう真ん中のステージを見た。真っ白い椅子と重々しい机、それからマイクだけがふたりの到着を待つように凛と立っていた。
言ってもいいのだろうか。でも、空良くんの親戚だしこういう大切なことはしっかり言っておいたほうがいいんじゃないのか。
空良くんには親戚がいるのだから、前もって知らせておいたほうが良かったのにどうして空良くんは何も知らせていなかったんだろう。
「古都さんも迷惑よね。空良が婚約者のフリしてくれとか言ったんでしょう。古都さん見るからに断るの苦手そうだもん」
「え、どうして知ってらっしゃるんですか?」
奈緒さんは健康的な小麦色の肌をした顔をくしゃっとしかめた。
「柊一の時にファンが研究所の前で集まるわ、柊一の家にまで付いていくわで大変だったの。空良がそれ見てて俺がもしこうなりそうな状況になったら婚約したフリでもしようかなって言ってたからね」
黒滝さんのことを名前で呼び捨てにしたことに驚いたが、それよりも奈緒さんが言うとその呼び方に違和感がないことのほうに胸が痛んだ。そんな自分が馬鹿らしくなる。
「奈緒さんは里香さんと仲がいいんですか?」
「え? 里香? ああ、柊一の女ね。全然よー。噂にちょっと聞いたくらい」
あっけんからんとして言う奈緒さんの顔をじっと見る。
確かにあの里香さんの友人というのには雰囲気がしっくりこないかもしれない。
里香さんは女であることを全開に生きているような人なのに、奈緒さんは性別なんて関係なく自由に生きているだろうと容易に想像ができる女性だ。ずば抜けて整った顔立ちは南国の美女風で波打つこげ茶色の髪と健康的な肌の色、9頭身以上あるんじゃないかと思う抜群のスタイルを自慢にするようでもなく自然のままに立居振る舞いをしている。
「空良が柊一と仲良いのよ。それで、私も小さい頃から知ってて幼馴染って感じかな。でも、里香って子あんまり良い噂聞かないのよね。特別美人ってわけでもないし。ここにいる里香さんの招待客だって彼女の権力に惹かれて来てる子たちばっかり」
私は奈緒さんのこちらがビクビクするような発言を聞きながら新郎新婦が現れるであろう真ん中のステージを見た。真っ白い椅子と重々しい机、それからマイクだけがふたりの到着を待つように凛と立っていた。
