
変人を好きになりました
第13章 見えた光と
「古都さん!」
「てめ、古都に何したっ」
荒い空良くんの声でそれまで甲高い笑い声を響かせていた里香さんが静かになった。
何が起きているのか全く理解できないまま、黒滝さんの腕に抱かれ、宙に持ち上げられたのを感じる。
「古都さん、大丈夫。大丈夫だから」
黒滝さんこそ大丈夫? そんなに慌てている黒滝さんなんてらしくない。
そう言いたいのに口が動かない。ただじんわりと嫌な生温かさが右目を覆っている。目を頑張って開けようとしても左目しか開かない。
突然何かの破裂音。何事だろう、ぼやける左目で見える世界がさらに見えにくくなった。真っ白な雲に覆われたみたいだ。
それは私の目だけじゃないらしく、逃げ惑う人たちにも明らかに何かが爆発したのだと分かったようだった。
「古都……」
爆発のことなんて気にしていないように黒滝さんが呟く私の名前。呼び捨てにされたことが嬉しい。
どこに私を連れていこうとしているのだろう駆け足で人の間を潜り抜けていく。
お姫様抱っこされているのだと分かって黒滝さんの顔を見たくて左目で彼を確認すると、あろうことかあの黒滝さんが泣きそうな顔をして私を見下ろしていた。
「へんな……かお」
痺れる顔を一生懸命動かして黒滝さんに言うと急に体の力が抜けた。ああ、黒滝さんがどんな顔をしてるのかもっと見たかったのにな。
かろうじて柔らかい布が瞼を覆うのを感じた。
急に襲ってきた眠気と一緒にすぐそこで車のクラクションとに奈緒さんの張り上げる声が聞こえたような気がした。
「てめ、古都に何したっ」
荒い空良くんの声でそれまで甲高い笑い声を響かせていた里香さんが静かになった。
何が起きているのか全く理解できないまま、黒滝さんの腕に抱かれ、宙に持ち上げられたのを感じる。
「古都さん、大丈夫。大丈夫だから」
黒滝さんこそ大丈夫? そんなに慌てている黒滝さんなんてらしくない。
そう言いたいのに口が動かない。ただじんわりと嫌な生温かさが右目を覆っている。目を頑張って開けようとしても左目しか開かない。
突然何かの破裂音。何事だろう、ぼやける左目で見える世界がさらに見えにくくなった。真っ白な雲に覆われたみたいだ。
それは私の目だけじゃないらしく、逃げ惑う人たちにも明らかに何かが爆発したのだと分かったようだった。
「古都……」
爆発のことなんて気にしていないように黒滝さんが呟く私の名前。呼び捨てにされたことが嬉しい。
どこに私を連れていこうとしているのだろう駆け足で人の間を潜り抜けていく。
お姫様抱っこされているのだと分かって黒滝さんの顔を見たくて左目で彼を確認すると、あろうことかあの黒滝さんが泣きそうな顔をして私を見下ろしていた。
「へんな……かお」
痺れる顔を一生懸命動かして黒滝さんに言うと急に体の力が抜けた。ああ、黒滝さんがどんな顔をしてるのかもっと見たかったのにな。
かろうじて柔らかい布が瞼を覆うのを感じた。
急に襲ってきた眠気と一緒にすぐそこで車のクラクションとに奈緒さんの張り上げる声が聞こえたような気がした。
