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君がいいんだ

第1章 はじめまして

深夜2時…
そろそろお開きにとなり、俺はマネージャーに電話した

「翔、悪いけど、紗英ちゃん頼める?」
「あぁ、いいよ。杉本さん、家どこ?送ってくよ?」

彼女はだいぶ眠そうなのに「タクシーで帰る」と言っていた
響子さんからも「送ってもらいなさいよ」
と言われている
「大丈夫ー!!」という返事がかなりたどたどしい

「櫻井さん、すみませんがお願いします。紗英は〇〇町の…」と言って
住所を書いたメモを渡した

彼女は車に乗り込むと、スヤスヤと寝息をたて始めた
マネージャーに行き先を言うと通り道だと言ってくれたが、目付きが恐い…(笑)

「ホントになんでもないって!!」
「わかりました…」

疑っているのは心配してくれてるからと
わかっているけど
このまま『なんでもない』のはちょっと寂しいかも…と思った

家の近くまで着き彼女を起こすと
寝たせいか少ししっかりしていた
何度も何度も繰り返しごめんなさいとありがとうございますを言って車を降りた

俺は…
「またね」と小さく言ってみた…

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