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身代わりH

第2章 *思い出

「そう…かな?」



今までお兄ちゃんをそういう対象で見たことなかったあたしは、まず首を傾げたのを覚えている。



そんなあたしに、周りの友達は口々に言った。



「そうだよ!めちゃくちゃカッコイイじゃん!北中でもスゴイ人気あるって、うちのお姉ちゃん言ってたよ!」




“北中”とは、お兄ちゃんが通っていた中学のこと。あたしもその後そこへ入学した。




当時のお兄ちゃんは、サッカー部の部長に抜擢されて、県の新人戦で優勝出来たと喜んでいた。



「楠先輩、チョコたくさんもらうだろうね~」



「だね~」



しきりに頷く友達を見て、あたしは異空間にいるみたいな気持ちになったのを覚えている。



-そっか…。



あたしにとっては“お兄ちゃん”だけど、周りからはそう思われてるんだ。



確かに…カッコイイのかも?

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