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身代わりH

第2章 *思い出

それは、どうやらお兄ちゃんの肩に体重をかけて草履を脱がそうとしてくれてるみたいだった。



「おぶってやるから、脱げ」



「お兄ちゃん……」



そう言って足に触れたお兄ちゃんの手はとても優しくて。



「…あ、ありがとう…」



「いいから、持て」



泥だらけの草履を押し付けて背中を向けて来たお兄ちゃんの声はすごくぶっきらぼうで、でも照れたように上擦ってたのを覚えてる。



「わ~い」



「…っ、重いのに揺らすなッ!」



「…ご、ごめん…」



あたしは、久しぶりにお兄ちゃんにおぶってもらって、上機嫌で首にしがみついてた。



…なんか…、こうやってお兄ちゃんと話すの、久しぶりだな…。



だってお兄ちゃんいっつも冷たくって…もう昔みたく仲良くしてくれないんだって思ってた。



でも…そうだよね、昔とは変わったよね。

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