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身代わりH

第2章 *思い出

お兄ちゃんの背中はこんなに大きくなかったし…、腕だって、首だって、こんなに太くなかった。



…そんなことを考えながら、家路へ向かうお兄ちゃんの肩に顔を埋めていると、上空に大輪の華。



「ほら、雅…最後だぞ」



ドドー…ン



だけどあたしが見とれていたのは、すぐそこのお兄
ちゃんの横顔。




花火の明かりに照らされて、あまりにかっこよくて。


「ちゃんと見たか?止まってやったんだから後で文句言う…」


「-……」



振り向いたお兄ちゃんの大きな瞳が近過ぎて、思わず息を飲む。


ドキドキドキ…。



「うん…、ちゃんと見た…よ」


「…それならいい」



ぱ、と視線が逸れた後でも、心臓の音は鳴り止まなくて。



どうして…こんなこと、初めて…。

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