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身代わりH

第2章 *思い出

相手は本当のお兄ちゃんだし、きっと違うって思いたかった。



だけど…お兄ちゃんのちょっとした言動に反応しちゃうあたしがいて。



いけないってわかっていても、認めざるを得なくなった。



だけど…それ以降もお兄ちゃんの態度は冷たくて。



あの花火の日が嘘みたいに、邪険に扱われてた。



あたしは大好きなのに。



-全てが…好きなのに。



低い声も、ちょっと意地悪で冷たい話し方も。



細くて節くれだった指も、フリーキックの上手い左足も。



爪先から髪の毛まで。



楠 拓真の全てが愛おしいのに。



『話し掛けるな』
『近寄るな』



険しい目付きであたしを拒否する-…。

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