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身代わりH

第3章 *家に帰ると・・・

-今日はどうか…した後でありますように…。



心の中でひっそりとそう祈ってみるけど、2階に昇り切ったところで聞こえてきた彼女の声に心臓が締め付けられる思いがした。



“…もう…拓真ってば…えっち”



くすくす、という甘ったるい含み笑いが微かに耳に入ってくる。



…やだっっ。



いたたまれなくなったあたしは、耳を塞ぎたい気持ちでゆっくりと自分の部屋のドアノブを回した。



静かにドアを閉め、ふう、と息をつく。



-やることがなくて仕方なく帰ってきちゃったけど、実際、帰ってきたところで、何も出来ない。



彼女と鉢合わせにならないよう、この部屋から出ちゃいけないし、物音を立てちゃいけない。



あたしは制服から着替えることも出来ずに、机の上に置いてあった雑誌をゆっくり手に取った。

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