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身代わりH

第20章 *最後の夜

お兄ちゃんは口早にそう言いながらドアを開けた。




「…お兄ちゃん!待っ…!」




-パタン。




あたしの呼び掛けは無視して、お兄ちゃんは部屋を出て行った。




-ガクリ。




消灯された暗がりの中で、あたしは閉じられたドアを愕然と見つめながら、床に崩れ落ちた。




「…どうして-…?」




…じわ、と涙が浮かんだ。




…どうして突然そんな…っ。




「…お兄ちゃん…っ」




掠れた声でそう口に出すと、後から後から涙が零れてくる。

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