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身代わりH

第21章 *消えない温もり

室内を見回してみても、それらしき人は見当たらない。




司書室になら誰かいるのかな…?




司書室と図書室は続きの部屋で、間についたドアが全開になっていた。




あたしは、資料を胸に抱えたままカウンターの横を通りすぎ、司書室の入口に向かった。




小声だけど人の声が聞こえてくる。




あたしは何も考えずにドアの前に立ち、司書室の中を覗き込んだ、瞬間-。




「…ふふっ…やっぱりあたし…拓真のキス、好き…」




-!!-。




聞き覚えのある含み笑いと同時に、一番見たくなかった光景が目に飛び込んで来て胸がしめつけられた。




-お兄ちゃん…っ!

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