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身代わりH

第21章 *消えない温もり

あたしはショックで何も言えず視線を逸らした。




すると、彼女があたしの持っていた資料に気付いて言った。




「ああ、1年生ね。資料ならいいから早く行ってくれない?」




何覗いてんのよ、と言いたげな視線で睨み付けられ、あたしは震える声で、




「…は、はい…すみ…ませんでした…っ」




そう言って頭を下げると、お兄ちゃんと目を合わせることなくその場を駆け出した。




-いや…もういやだっ!




抱えた荷物のおかげで、溢れる涙を拭うことも出来ずに小走りで図書室を駆け抜ける。

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