テキストサイズ

身代わりH

第24章 *知られていた

-あたしが雅の名前を呼び続けたのが聞こえたのか、取り込み中だった彼女を放り出して…先輩は走って来た。





『…先輩!雅が!』



『…っ!』




そして泣いたまま倒れてる雅を見て驚いた顔をすると、座り込んで雅に触れた。




少しこけた頬、濡れた目元に優しく触れたあと、腕や肩を緩く掴んで、言った。




『…大丈夫だ…』



『……』




その呟きはまるで先輩自身に言い聞かせるような言い方で、その時何も知らなかったあたしは、本当に妹思いなお兄さんだな、と感服した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ