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身代わりH

第1章 *私とお兄ちゃん

こっくり頷きながら、ユミちゃんの後をついていく。用具室を出て体育館の出口へ向かうと、ちょうどお兄ちゃんがこちらへ向かってくる。



-あたしと同じ洗剤の匂い。



ちょっとかったるそうにかかとを引きずる足音。




…見上げなくても、わかる。



…どうしよう、なにか言おうか。



「…雅?」



ユミちゃんが不思議そうにあたしを見ている。そのうちにお兄ちゃんとの距離はどんどん縮まって…あたしは意を決して顔を上げた。



“お兄ちゃん、カッコよかったよ”



って、言ってあげたい。



「…あのっ…」

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