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第2章 土曜日
―――10分後
「…おい、誰かいるぞ!」
煌太が小声で知らせた。
基樹が見ると、すぐそこに人の気配がした。
基樹は身構えた。
真っ黒のコートに身を包み、真っ黒のマスクをし、真っ黒の眼鏡をかけた…という、
いかにも怪しい服装の人間だった。
…奴こそが、基樹が階段を駆け上る時にそれを見つめていた男だが…
勿論、基樹は奴だとは分からない。
あの時自分を見つめている奴がいる、なんていう事すら
分かっていないのだから。
「…俺が行く」
そして、基樹達の潜める草の陰からそっと出て行った。