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仮面な人たちの恋愛夢小説

第17章 旅と、彼と、(D)

彼女はドヤ顔する士に思わず笑ってしまう。そしてそんな彼女に対してちょっとふてくされた様な顔をする士。
士はいつも遠回しにいいことをいうから、それが彼女には可笑しくて、でも士らしく感じて嬉しく思っていた。

『うん。悪くない。…っていうか、それが本当に私の存在する理由だったらいいのに、ね?』

冗談半分に言った言葉が、何処か士を真剣にさせた。

「ああ。本当にそうだったらいいのにな」

額をに感じたぬくもりは、士の真意を物語る。彼女は不意に感じた恥ずかしさに、咄嗟に士から離れた。
胸の鼓動が煩くて、ギュッと胸に手を宛てて握った。
この気持ちが、多分好きという気持ち。でも、仲間っていう関係を崩したくなかった彼女は、喉まで出たその言葉を敢えて呑み込んでいた。

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