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仮面な人たちの恋愛夢小説

第20章 赤い殺戮・赤い記憶(鎧)

貴虎は彼女を座らせると手についた血を拭き取り、頬の傷を手当てする。
その間にも彼女はずっと同じ言葉を呟きながら震えていた。

『血…っ…赤い‥血…っ』

そんな彼女を見ていられなくなった貴虎は不意に、彼女を抱き締めた。

「大丈夫だ。もう血はない」

彼女を強く抱き締める貴虎は、彼女の異常な精神状態を初めて知った。
赤い血が、こんなにも人を狂わせるものなのかと貴虎は痛感していた。

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