仮面な人たちの恋愛夢小説
第1章 雨の日のカプチーノ(F)
カフェに入るとお兄さんがすぐに飲み物を頼んでくれ、彼女はまた、そこで驚く。
お兄さんが頼んでくれくれたのは彼女が大好きなカプチーノで、お兄さん自身はカフェモカだった。
『私の好きなカプチーノ、どうして..』
「やっぱりカプチーノ好きだったんだ!何となくそんな気がしてね、頼んで良かったよ」
『そう..、なんですか』
「うんっ。そうそう、君の名前教えてもらえるかい??僕は朔田流星」
『ぁっ、安堂雅です..』
彼女は流星の自然なペースに乗せられて、流れと共に失恋までの話しをすることが出来、流星もまた、失恋までの話しをする。
聞く話しによれば、二人には同じ様な部分があることが分かった。
性別は当然ながら違えども、年の差や出逢い方など、これを同じと言わずになんというか、そのくらい共通点があったのだ。
話しをしていると、頼んだカプチーノとカフェモカが運ばれてきた。
カップの受け皿の横には、好みで淹れられるようにとシュガースティックが一本...。
「凄いな..同じ過ぎて怖いくらいだ」
『です..ね』
二人はカプチーノとカフェモカを口にする。
砂糖を一本淹れた雅が少し苦い表情をしたのに気付いた流星は、僕はいらないから、といって彼女の受け皿にそっとシュガースティックをおいた。
「此処の珈琲は全部本格的に淹れられているから余所の珈琲より少し苦味が強いんだ」
コソッと隣に座ってそんなことを教えてくれる流星。
どうやら彼は此処のカフェの常連らしい...。
『詳しいんですね..』
「此処、好きで良く来るから」
優しく微笑んでそう言う彼に、雅は少しドキッとした。