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仮面な人たちの恋愛夢小説

第4章 心とココロ(剣)

『あの‥助けてくれてありがとう御座いました』

「…大学生か」

『はい。この近くの大学に通っています。大学生には‥見えませんよね』

「いや、俺の勝ってな解釈だ。気にしなくていい‥それから送っていこう。いつまたアンデットが襲ってくるか分からない」

『アンデット…あ、さっきの怪物のことですか?』

男が被っていたヘルメットを渡され男が跨がると凛が後ろに乗る。
凛はいつかの兄を思い出す。
良く兄の背中に寄り添って出かけるなんてことがあった。
凛はほんの少し、この見知らぬ男が亡き兄の背中に似ているように思えた。
青空のもと、深紅のバイクが二人を載せて駆けていく。
大学へ着くとバイクから降り、ヘルメットを外した凛が男に頭を下げた。

『ありがとう御座いました。わざわざ送ってもらっちゃって…』

「礼ならいい。それより早く行かないとマズイんじゃないか…?」

『あっ、はい。えと、お名前、お伺いしてもいいですか?』

「始。相川始だ」

『始さん‥私、九条凛です。ありがとう始さん!』

ヘルメットを手渡して駆けていく凛。
途中立ち止まって振り返り、自分を助けてくれた始に笑顔で手を降る。
始も自分に手を降る彼女に自然と手を降っていた。
そして、凛を見送った始はまた何処かへとバイクを走らせた。
その様子を見ている何者かの影が、始を追うように大学を出ていく──

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