仮面な人たちの恋愛夢小説
第5章 恋人はJOKER(剣BL)
「この姿はこの間封印したアンデットのせいらしい」
「アンデットが!?どうやったら女の子の姿に‥中身は始のままなのにな」
「ああ。この事は誰にも言わないでくれ‥特に睦月達には」
「分かった。俺の気持ちとしてもお前のこんな姿、睦月や橘さんに見せられない。‥でも隠す条件がある」
「何だ」
「元の姿に戻るまで俺の傍から離れるな」
「‥つまり剣崎。お前がいいたいのは俺が女の姿でいる間、お前の…恋人になれということだろう」
「そう。良く分かったな」
「剣崎の考えることは大体分かる。何年お前を見てると思ってる…これもほんの一時だけ。睦月達にはバレるよりましだ」
「じゃ、決まりだな」
怪奇の笑みで明らかに何かを考えている顔をする一真。
始は一真の笑みに一瞬背筋が凍る。
暫くの間、ろくなことが無さそうだと苦々しく思う始だった。
「もっと女の子らしく出来ないのか?」
「女のことは良く知らん。こういうことは初めてだからな」
「じゃあさ、ほら」
一真が始の手を握る。
始は少しばかり嫌そうな顔をしている。
「そんな顔すんなよ。取り敢えず手さえ握ってれば誰から見ても恋人だって分かるだろう?」
「…仕方ないか」
「それから‥名前、始だとマズイだろ?何か考えないとな…覚えやすくていい名前‥」
考える一真。
返答を待つ始。
一真がハッとなって始を見る。
「哀とかどうだ?始の名字から引っ張ってみた」
「‥‥好きにしろ」
よしっ、と言った一真。
始もその名を拒否することなく受け入れた様だった。
「俺の事は一真って呼ぶんだぞ。間違っても名字呼び捨ては駄目だ。二人でいるときはいいけどな」
「分かった」
「取り敢えずなるべく睦月達に会わないようにしないとな」
「ああ」
歩き出す二人は誰から見ても恋人同士。
人によっては、違和感があるかもしれない。
でもそれは始がほぼ無表情なせいだろう。
一真はその点を含めて、もう少し始に今のお前は女だと教えていく必要があると考えた。