仮面な人たちの恋愛夢小説
第5章 恋人はJOKER(剣BL)
それから二人はごく普通の恋人としてショッピングに行ったり、ファミレスに行ったりなどした。
時には始…哀の魅力に絡んでくる不良がいたが、哀が数人のしつこい不良達を薙ぎ倒すなんてこともあった。
「お前やり過ぎ。女らしく男の俺に守られとけよな」
「剣崎じゃあの数はすぐに倒せないと思ったから判断した結果だ。それに…とっとと目の前から失せたかったんだ」
「よっぽど嫌だったんだな。でもさ、もう少しこのくらい女らしくしようぜ?」
「俺にどうしろと」
「もうちょっとか弱くなれってことかな」
始が首を傾げる。
言葉の意味が理解出来ていないようだった。
ただ思ったのは、ああいう時女は守られるものだと始は理解した。
「まあ、その内分かるだろう。さて、どっか休める場所探すか‥行くぞ」
一真が始に手を伸ばすと、始がそっとその手を握る。
女の姿である始の手は、女性らしく白い手に柔らかい物腰の肌が、一真の心を有らぬ方向へと持っていく。
勿論、始にはまったくその自覚はない。
再び歩き出した二人は広々とした野原を見つけ、そこにある一本の大きな木の下に身を置いた。
「始」
「何だ」
一真が始の肩を寄せる。
始は少し驚き横の一真を見詰める。
一真が何だよ、というような顔をするので始はいや、とすぐに目を反らした。
「何だ。恥ずかしいのか?」
「何を言う」
「可愛いとこあるなって思ってさ」
「可愛い‥女に向けていう言葉だろう?」
「‥‥女、か」
少し拍子抜けしたような表情で納得する始。一真は思わず吹き出して笑う。
一真の始に始がムッとしたような顔をするので一真が逆に妙に真面目な顔でいう。
「もっと楽にしていいんだぜ、今のお前は女なんだからな」
始は黙って一真の肩に頭を置いた。
一真が始をチラリと見る。
「これでいいか」
「上出来」
始の頭を撫でる一真。
普通は嫌がりそうだが、始は何故だか悪い気はしなかった。
「このあとどうするか‥」
「剣崎の好きにしろ。俺はついて行く」
「…そうだな、じゃあ‥」