テキストサイズ

仮面な人たちの恋愛夢小説

第5章 恋人はJOKER(剣BL)


一真が始と向かった先は一真が居候している虎二朗の家だった。

「剣崎の家‥」

「まあ、正確には居候先だけどな。今日は虎二朗たちは旅行で帰って来ないから泊まっていいぜ」

「そうか‥悪くないな」

小さく頷く始。
一真はその反応によし、と内心ガッツポーズをする。
一真は自分の部屋に始を入れた。
それから二人は交互に風呂に入り、暫くの間部屋で寛いだ。

「そう言えば女になってからの生活はどうしてたんだ?」

「天音ちゃんたちの所にいた。勿論俺ということは隠してだが‥」

「はあー、お前尊敬するわ」

始は首を傾げる。
すると突然表情を変えた。

「剣崎、今思えば、早めにお前にバレても良かったと思う」

「そうか。最初は驚いたけど、意外とその姿定着しているぞ?」

「バカいうな。俺は早く戻りたい」

「俺はもう少しそのままの方がいいな」

「何?」

不意に一真の手が始の肩を引き寄せる。

「こうでもないと、お前と向き合えない。だろ?」

一真の正統派な答えに、始も少しの間はあったが頷く。

「だから俺は、今のお前のままだとありがたいんだよ」

「…そうか」

始の手が、膝の上で静かに拳を作る。
一真がそれに気付く。

「どうした?」

「いや‥何も…」

始の言葉が詰まる。
瞬間で一真が始を抱き締めた。
始が驚きのあまり目を開く。

「無理するな」

「剣崎…」

その時、一真の中でも何かが動くのを感じた。
一真は始を強く抱き締める。
始は徐々に一真に身を置くようになる。

「なあ始…俺‥」

「?なん‥っ」

しびれを切らせた一真が突然始の唇を奪う。
始は10秒程硬直したのち、一真を振り払った。

「何を考えている剣崎…っ」

少し一真を睨むように軽く口元を拭う始。
普段冷静な始も、今のには冷静ではいられなかった様子。

「ごめん始‥」

「剣崎…ッ!」

「ごめん。でも無理そうだ」

始の腕を掴んだ一真が始ごとベットに倒れ込む。
始は一真を見上げる。
一真は何故か悲しげな表情で始を見詰める。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ