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逆に問が戻ってきて、雅は拍子抜けした。
気付いてないんかいっ！、と彼女は内心ツッこんだ。
ふと間が空くとそうだな、っといって、その間を縫うように彼の返事が戻って来た。

「僕が君を好きだからかもしれない」

優しい口調で言うものだから、雅はそこでまた拍子抜けする。
雅の呆然とした顔に、彼がクスクスと笑って見せた。

『冗談でも酷いです..』

「あっ、ごめんごめん..」

『だっ、誰だってそんな言われ方したら勘違いしますよ...!っ...!?』

そういった具合にすれば急に彼の顔が真剣になって、次の瞬間彼女は彼の腕の中に...。
そして言うのだ──

「本気かからかっているかは、君の考え次第だよ..」

『ぁっ..、えと....』

「僕がいいたいのはそれだけっ、後は自分で考えてみな...??」

彼女から離れて、彼女の髪をクシャッと撫でる。
雅は嬉し恥ずかし気分になり、俯いた。
そのままカプチーノに手を伸ばした彼女は残りのカプチーノを口にする。
今日のカプチーノは一段と甘い、そう彼女は思った。

「暗くなってくるし、そろそろ帰らないとね..」

『ですね...』

「送るよ、」

『いや、そんなの悪いです!珈琲もご馳走になりましたし..一人で帰れますから』

「...そう??」

『はい..』

彼女は小さく頷いて、彼に一礼すると止みかけの雨の中を駆けて行った。
その帰り道のこと...──

『はぁ..はぁ..すっかり遅くなっちゃった...』

全身と多少顔を濡らしながら家へと急いでいたときのこと、ふと脚を止めた彼女は、目の前の光景に自分の目を疑った...──。