リク短編集
第2章 先生×生徒
「…これは、一度覚えれば簡単だぞ。…まず、これは仮分数にするだろ?」
隼人は先生の話が全く頭に入らず、
相づちは打っていながらも式を理解していなかった。
「…どうした?…俺の顔なんか付いてる?」
ハッ
隼人は知らず知らず、先生をじっと見つめていた。
先生の頬が少し赤く染まった気がしたのは、隼人の見間違い
だったのだろうか…。
「い、い、いえ…そそっ、それより、この式の計算教えて下さい!」
「…あぁ、ごめん。それから、2をかけると…」
「あぁ!分かった!先生、ありがとうございました!!」
隼人は本当はこれっぽっちもわかっていなかった。
―――先生ともっと一緒に居たいけど、他の人に見られたら大変だから…
別に、見られても何の支障もきたさない。
ただの口実に過ぎなかった。
だけど…
自分の気持ちになんとかブレーキをかけなければ…
だってこれは叶わない恋。
きっと、一生かかっても両想いにはなれない。
隼人は必死に先生に対する感情を抑えようとしていた。