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夜会で踊りましょ!!

第12章 ショーを並んで

「ここ…」
 翼女は始めてきた場所なので戸惑っている。

「翼女ちゃん…ごめんね…あんまりきれいな所じゃないけど…」
 柾季が人を掻き分けてやって来たのは、音響の大スピーカーの横。


「柾季くんの穴場?」
 翼女が周りをきょろきょろ見ている。


「そうなるね!」
 柾季がニカッと笑う。


「父さんと二人で怪獣ショーとか、ここからよく見たんだ!遥香も知らないと思う!あいつなら真ん前で見てるから…」
(なぜ…ここで遥香を出さないと話が続かない!俺のヘタレ)
 柾季の笑顔の中に涙が隠れている。



「皆様お待たせしました。××デパート恒例になりつつある
『橘さま新作浴衣発表会』にお越しいただき、ありがとうございます!!」

 司会の人がマイクを持ってステージに立つ。

 ステージを囲む人たちが、「わー」と声をあげながら拍手する。


 ショーが始まると横のスピーカーから音楽が流れ始める。

「お!始まった!」
(さすがに怪獣ショーの時よりは音が柔らかい)
 周りを見回す柾季。

(あ…)
 柾季は耳をふさいでいる翼女をみて思う。

(やっぱ…女の子には不向きだったかな?)


「翼女ちゃん、耳、大丈夫?」
 柾季が翼女に話しかける。


 翼女は音楽にのって頭が少し動いている。


(聞こえないかー)
 柾季は考えるより先に手が肩に触ろうと伸びていく。

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