テキストサイズ

夜会で踊りましょ!!

第13章 翼女、一人思う

7月の日照時間は長い。もう、六時をゆうに過ぎていても明るい。

普段乗りなれている電車の窓から見える風景をボーとみている翼女。


 『僕は大丈夫だよ!男だもん』
   腰に手を置き自分を大きく見せる柾季。


「…クスッ」
 口元に手を持ってきて、小さく思い出し笑いをする翼女。


(…もん♪って、久しぶりに聞いた…それに今は男の子も襲われるんですよぉ)
 翼女は腐女子的見解を心でつぶやく。



「……楽しかったぁ…」

 心から漏れでてきた言葉。


(え?)
 翼女は、自分の口から言葉がこぼれた事に驚いた。


(楽しかったの?緊張してたのに?)
 自分の言葉に驚き、困惑する。


(よく考えたら、遥香ちゃんいないのに…歩睦くんもいないのに、私、柾季くんとあんなに、長く…一緒にいた…)
 行動を思い出して、いたたまれなくなる翼女。



(そ、そうだ!覚えているうちに、絵にしとこう)
 鞄から小ぶりのスケッチブックを出して、サラサラかを描き始める翼女。


柾季が笑った顔…困った顔…みほちゃんを肩車している所

思い出せる顔を描いていく。


(我ながら…よく覚えている…)
 自分の絵を見ながら、にっこり笑う翼女。

翼女は意識して見たものを記憶する能力がある。端的に言うと”認識型瞬間記憶”といった感じである。
 そのため、試験の成績は上位常連である。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ